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BAJ★ミャンマーブログ

ミャンマーで活動するNGO駐在員の日記 (ヤンゴン、ラカイン、パアンから)

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BAJミャンマー駐在員

Author:BAJミャンマー駐在員

~アジアに架ける橋~
特定非営利活動法人ブリッジエーシアジャパン(BAJ)は、技術訓練や収入向上支援、生活環境の基盤整備を通しアジアの困難な状況に置かれた人々の自立を支援しています。

こちらのブログではBAJのミャンマー駐在員が活動を紹介しながら日々の出来事、喜び、驚きを日記にします。

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2014.11
27
Category : 中央乾燥地域

たいへんご無沙汰しております。正治です。
今回は、掘削ではなく、深井戸の修繕活動について書きたいと思います。

■ はじめに
ミャンマーの中央乾燥地には一説では約3,000本の深井戸があるといいます。
1950年代から海外の資金援助で作られてきました。中には20年や30年以上使用されている深井戸も珍しくありません。
現在、そういった深井戸が老朽化により、どんどん故障しています。使えなくなって放置された井戸も少なくありません。

そのため、深井戸の修繕は、BAJの活動の中でも大きな柱の一つです。
今年は、日本政府の資金を活用させていただき、75か村の深井戸の修繕を実施しています。

BAJがミャンマー中央乾燥地で活動を始めて15年。
活動当初から修繕活動を実施してきており、様々な経験が蓄積されています。
今日はその中でも、BAJしかほぼやらないであろう、修繕のワザを紹介したいと思います。
非常にマニアックな話になりますが、ご一読いただければ幸いです。

BAJ修繕チーム
(BAJ深井戸修繕チーム)

■ 緊急事態!
先日のチャウ郡シンカ村の井戸の修繕は困難を極めました。
この村は元々、私たちのターゲットの村ではありませんでした。
わざわざ村の住民が事務所を訪れて、BAJにヘルプをお願いしてきた経緯がありました。
自分たちで民間の修繕チームを手配したが、作業中に致命的な失敗をしてしまい、揚水自体が不可能になってしまったとのこと。
緊急事態です。「BAJなら何とかしてくれるのではないか」ということでした。彼らにとっては一縷の望みをかけた依頼でした。

修繕チームのリーダーは、さっそくシンカ村へ調査に出かけました。
調査結果から、この村の井戸の修繕は難易度が高く、成功の保証はできないことを私に語りました。
しかし反対に、私たち以外のチームでは成功は望めないだろうとも語りました。
私たちの結論は「ぜひBAJがやりましょう」でした。

さて、「難易度が高い」とはどういうことか。
いろいろな「難易度」がありますが、この村の場合は、他の民間チームが作業中に起こした失敗が大きな要因になります。

それは「揚水菅の落下」です。

通常の修繕作業の流れは、以下の工程を踏みます。
1)井戸孔内に設置された揚水菅とポンプを1本ずつ取出す
2)揚水菅とポンプに不具合がないかをチェックする
3)井戸孔内を洗浄する
4)不良部品を交換し、揚水菅とポンプの再設置をする

民間チームは、1)の段階で失敗したことになります。
揚水菅とポンプを引き揚げる途中で、それらを井戸孔に落っことしてしまったのです。

シンカ村の揚水菅は合計の長さが約180mになります。
1本の揚水菅の長さが約3m。それを櫓と滑車を使い、人力で1本ずつ引き上げて取り外していきます。
とてつもない重さで危険な作業の一つです(BAJではその引き揚げ作業をクレーン車で行います)。
それを途中で落っことしてしまったことが大問題でした。

そうなると、落っこちた揚水菅を何とかして再び釣り上げないといけません。
落っこちた揚水菅が井戸孔にある限り、新しく揚水菅を設置することもできないわけです。
揚水菅の半分以上がまだ井戸孔に残っている状況でした。
しかし、どうやって釣り上げるのか。ここで特殊なワザが必要になります。

それが「フィッシング」です。

フィッシングツール(釣り針に当たる)
(フィッシング用の特殊な部品)

■ フィッシングという技術
上記のような先端がとがったパイプをクレーン車を使って、一本ずつパイプをつないで井戸孔に潜行させます。
つまりこれは一種の「釣り針」になります。
そして、クレーン車の操縦者の感覚で、釣り針を落っこちた揚水菅のパイプに潜り込ませ、引っかけてから、釣り上げるのです。

全て見えない作業になります。しっかり食い込んだと思っても、釣り上げてみるまで分かりません。
フィッシングは運の要素が強く「難易度が高い」と修繕リーダーが言うのも頷けます。

修繕活動に欠かせないクレーン車
(BAJの修繕活動に欠かせないクレーン車)

雨ニモマケズ井戸修繕
(雨ニモマケズ…)

シンカ村の修繕作業は3週間以上かかりました。
そして、いろいろな奮闘の末に、BAJ修繕チームはフィッシングに成功したのでした。

しかし残念ながら、揚水菅の一番先端に付いたポンプのエレメント部分の釣り上げには成功しませんでした。
ですが、不幸中の幸いで、その部分は新しいポンプのエレメントを再設置すれば、揚水にとくに問題がないことが分かりました。
シンカ村の井戸は揚水不可の状態から毎時1,800ガロン(約7,200リットル)の揚水量を得るまで回復することができました。

私にとって、フィッシングの工程をつぶさに見たのは、これが初めてでした。
クレーン車を使い、底の見えない孔に向かって「釣り針」を垂らし、パイプを釣り上げる。
運の要素が強いとはいえ、今回成功したのは、修繕チームの今までの経験と勘があったからだと思います。
手前ミソですが、修繕スタッフの職人技に感心してしまいました。

すごい!


正治
マグウェ事務所・駐在員

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