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BAJ★ミャンマーブログ

ミャンマーで活動するNGO駐在員の日記 (ヤンゴン、ラカイン、パアンから)

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BAJミャンマー駐在員

Author:BAJミャンマー駐在員

~アジアに架ける橋~
特定非営利活動法人ブリッジエーシアジャパン(BAJ)は、技術訓練や収入向上支援、生活環境の基盤整備を通しアジアの困難な状況に置かれた人々の自立を支援しています。

こちらのブログではBAJのミャンマー駐在員が活動を紹介しながら日々の出来事、喜び、驚きを日記にします。

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2015.03
04
Category : ラカイン州
こんにちは。マウンドー事務所の原です。

マウンドー事務所では裁縫訓練を行ってきたCSDP(Community Social Development

Project)部門を、収入向上部門に変えるべく、少しずつ改革を進めています。

その一環として、このたびシトウェ周辺の機織りの見学をしてきました。

目的は、ラカインで一昔前に栽培されてきたラカインコットンで布を作っている

人物を見つけること、そしてロンジーなどに見られる模様の意味を見つけることです。



現在では、主にロンジーなどに使用される布は、機械で製造されているものが

多くミャンマー中に出回っております。しかし、昔ながらの手動の機織り機を使用し

布を製造して収入を得ている人たちもまだまだたくさんシトウェ周辺にはいます。


002.jpg



まず最初に、シトウェ市街から車で走ること約20分ほど、ガンゴージュンという

村を訪れました。この村ではいまだに多くの手動の機織り機を使用して布を製造

している人たちが大勢います。その多くは女性で、昔は外を出歩くこと、もしく

は働くことがよしとされなかった時代に、女性が収入を得る手段として機織り機

で布を製造していたとのことです。そのため、機を織る仕事は圧倒的に女性が

行っています。

ちなみに、機織り機は各家庭単位で所有・使用されており、これらは家内制手

工業の形態をとっています。






最初に訪れた機織りの女性は、市場からインドや中国製の糸を購入し、場合に

よっては色を染め直し、飛び杼に糸をまき直し、そして機織り機で布を製造し

ます。機織りの技術はお母さんから教わったそうです。作る模様によっては、

2人で機織り機を操作する場合もあります。




彼女は、1日に2品のロンジーを作成しています。それを卸業者に1品4000チャット

くらいで販売しているそうです。そこから材料費を差し引いた女性の儲けは、

1品で多くとも1500チャットくらいにしかならないそうです。






上の写真の模様は少数民族であるカミー族の女性が好む花模様です。ロンジーの模様

はミャンマー国内の各地域において特色があり、こちらの模様もほかの地域にはない

独特なものになります。



各々の模様に意味があるかとの質問に対し、そういったものは備わっていないとの

返答でした。模様それ自体には昔から長く採用されているものも多いですが、そこに

物語が潜んでいるかというと、そうではなさそうです。多くの模様は布の制作を依頼

してきた人たちが下書きをし、その内容に沿って職人さんが作成しているとのことです。


年齢を重ねた職人の女性に聞いても、特にそういったものは存在していないとの

返答でした。





また、ラカインコットンについて、栽培している場所や使用している機織り職人を

聞いて回りましたが、現在ラカインコットンを使用している人はいないとのことでした。

ラカイン州は、数十年前では綿の輸出国でしたが、現在工業化を成し遂げ大量生産の

可能になったインドや中国から安価の糸が大量に流入してきているようです。

一部の工場がミャンマーの中央乾燥地域から購入した糸を使用し布を作成している

ようですが、ミャンマー産の綿はごわごわして使用しにくいようです。綿花は乾燥した

地域の栽培が適しているとは通説となっていますが、年間雨量が5000ミリに達する

ラカイン州は、そもそも綿の栽培に向いていないのかもしれません。


004.jpg




次に、ガンゴージュン村からワーボー村に移動し、数件のお宅にお邪魔しました。

こちらの村は280もの家があり、300以上の機織り機があるそうです。とある女性

によれば、各家庭に機織り機を使用できる女性は2人はいるだろうとのことでした。


005.jpg



こちらの村でお会いした、エータウン(Daw Aye Thaung)さん。60を過ぎた今でも

機織り機に向かい続け、40年以上のキャリアをお持ちです。この方はデザインの

考案も得意とのことで、ある程度のアイディアを持って来れば進んで模様を作成

してくれるそうです。



彼女もキャリアは長いですが、模様に関しての意味や伝説は特に知らないとのこと

でした。単に知人との間で、模様を「手製の花」や「アラカン山脈」などと名づけ、

商品名にしてしまっているケースはあるらしいです。




彼女も若いころはラカインコットンを使用した布を機織り機で織っていましたが、

安くて上質な外国製の糸が輸入してきたことで使用しなくなってきたとのこと。

ラカインコットンは、グローバル化の流れの中で消滅してしまったのかもしれま

せん。多くの人がラカインコットンを語る際、ごわごわして使用しづらいという

意見が出ますが、良い点は私自身聞いたことがありません。誰も使用しなくなる

のは必然かもしれません。


006.jpg



幾人かの機織りの女性が、タイとの国境に近いカイン州のミヤワディーにでも

行けば、1日に10,000ks稼げるとの話を聞いたので、そちらに行きたいとこぼして

いました。国を開いたことによる経済の急激な成長で格差が生まれ、多くの人

が翻弄されているのかもしれません。
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